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アケビ   木通   アケビ科アケビ属

アケビ
<撮影:2010年4月> 雄花
雄花<撮影:2008年4月>

スカートの中の蛸の脚

この季節に山を歩いていると、アケビの花に時々出会う。遠目には、木になにか黒っぽいものがくっついているように見えるが、近づいてよく見れば、なかなかに面白い花である。
 花は、ひとつの花序に雄花と雌花がそれぞれ咲く。上の写真の大きなほうが雌花で、広げた紫色のスカートのようなものは萼。真ん中の蛸の脚のようなものが雌しべだ。
 美しいといえば美しくもあるし、奇妙と言われれば、奇妙な姿でもある。そこに独特の面白さがある。
 雄花により接近してみたのが下の写真。奇怪な生物の爪のように見えるのが雄しべで、縦にスジの入っているのが葯(花粉をつくる器官)である。こちらは、拡大すると奇妙さがいっそう際立つ。

極上の美味

アケビの実のおいしさは、世人のあまねく認めるところであろう。
 ぱっくりと口を開いた赤紫の果皮の中に舌を入れて白い果肉を口に含めば……ああっ、よだれが出そう。大きめの種がこれでもかというように詰まって、食べるのを邪魔するのがなんともしゃくの種だが。

動物のごちそう

しかし、そのアケビの実を山の中ではとんと見かけない。おそらく動物たちもそのおいしさを知っていて、実が熟すか熟さないかのうちに先を争ってとってしまうのだろう。
 山に遊びに来る人間が動物の領分を侵すわけにはいかないから仕方がないのだが、一度でいいから、山で熟したアケビを手に取って食べてみたいものだ。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花A』(写真/茂木透、解説/太田・勝山ほか 山と渓谷社)
<記事 2014年4月29日>

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