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アワコガネギク  泡黄金菊  キク科キク属

アワコガネギク
 <撮影:2013年11月>

アワコガネギク
崖では花が垂れ下がるように咲く <撮影:2011年11月>

別名キクタニギク。
 本格的な植物観察を始めた頃、師匠であるK氏に教えてもらった菊である。別名をキクタニギクというが、たいていの図鑑ではキクタニギクを標準和名とし、アワコガネギクは別名という取り扱いをしている。
 「跡見群芳譜」によれば、アワコガネギクの名は、黄金色の頭花が泡のように密集してつくことからきており、命名者は牧野富太郎である。この花を教えてくれた時、K氏は、姿かたちがすぐに思い浮かぶような味わいのあるこの名を標準とせず、単にたくさん生育する場所(京都丸山の菊渓)にちなむというだけでキクタニギクを標準とする図鑑とその著者に対して、あきらかに怒りのこもった思いを語っていた。
 標準和名と別名については、どういう基準で分けられているのか、私などが知る由もないのだが、この菊についてはいまでもK氏の意見に共感を覚えている。

 アワコガネギクについては、別の問題もある。
 国立環境研究所の「侵入生物データベース」によれば、アワコガネギクの中国・韓国由来の種子が道路の法面の緑化にもちいられたため、全国各地で在来種との競合や遺伝的攪乱を引き起こす要因になっているようだ。私自身はまだこれが「中国・韓国由来のもの」という個体を見たことがないが、おそらく姿を見ただけで在来種と区別するのは難しいのかもしれない。
 同データベースの分布図では、まだ群馬県内に入っていないようだが、在来種も存在しない地域になっているので、どこまでこのデータを信頼していいのか、はなはだ心許ない。

 自然の中で伸び伸びと育っているように見える植物も、実はいろいろと悩み多き「人生」なのかもしれない。

<参考文献>
『日本の野生植物 草本V』(佐竹・大井・北村・亘理・冨成編 平凡社)
「跡見群芳譜」(Website)

<記事 2016年11月27日>

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