

枯れ木に咲いた花のよう
初冬の山道で、葉の落ちた木々に白い花のようなものがついていれば、たいていはこのボタンヅルかセンニンソウの実だろう。花はよく似ているが、葉のつき方や形が違うので見分けがつく。この季節は、茎で見分ける。茎に稜があるのがボタンヅルで、丸いのがセンニンソウと、私は認識している。
山道を走っていて、車を置ける退避スペースのようなものがあると、ついつい立ち寄って周囲の植物の様子を見たくなる。この日も、そんなことで特別意識的に止まったわけではないのだが、道路脇にふわふわした感じの白っぽいものがあった。ボタンヅルだ。さっそく三脚を取り出して写したのがこの写真である。
モノクロ写真的な美しさ
真ん中にある黒っぽいものが痩果であり。そこからのびている白い毛のようなものは、花柱(雌しべの子房と柱頭の間の部分)である。このつややかな白と痩果の黒とがつくりだすコントラストが素晴らしい。レンズを覗きながら、なんどもため息が漏れた。下の写真など、なんの画像処理もしていないのに、まるでモノクロ写真のような雰囲気である。
人生の老いもこのように美しくありたい、などと思うのは、感情移入が過ぎるだろうか。
<参考文献 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」(林弥栄監修、山と渓谷社)>
<撮影日 2009年11月30日>
<記事 2012年12月3日>