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エゾリンドウ  蝦夷竜胆  リンドウ科リンドウ属

エゾリンドウ花
晴れてよく開いた花 <撮影:2017年9月>

エゾリンドウ萼
萼裂片の長さがかなり違う <撮影:2017年9月>

エゾリンドウ
多段階に多数の花がつく <撮影:2015年8月>

秋の山野を代表する花の一つだが、同じエリアに生育するオヤマリンドウとの区別が明瞭でなく、私にとって同定が悩ましい植物のひとつである。
 両者を区別するひとつのポイントとして『日本の野生植物』(平凡社――旧版)は、エゾリンドウは「(花冠)裂片は平開する」と記述し、オヤマリンドウは「裂片は平開しない」と記述している(VP30、リンドウ属の検索表)。しかし、エゾリンドウもオヤマリンドウも、曇りや雨の日は、花冠は開かない。晴れの日のエゾリンドウでも、開くことは開くものの「平開」という語感から連想するような開き方をする花には、少なくとも私は出会ったことがない。
 以前からこの図鑑の記述にこだわってしまったため、エゾとオヤマの区別がなんとも不明快ですっきりしない状態が持続していた。
 最近、植物学者のO氏からの助言もいただいて、別の視点で整理をすることにして、ややすっきりとした状態になっている。
●花冠は開かないものもあるが、晴れると(平開とは言い難いものの)それなりにはっきりとした開き方をする。
●花は茎頂だけではなく、多段階につくことが多く、花数も10を優に超えるものが多い。
●花冠の長さはおおむね3センチ以上。
●萼の長さはおおむね15ミリ以上。
●萼裂片は顕著に不同で、かなり長い裂片がつくこともある。
 というような特徴がほぼ当てはまるものを、あとはエイヤッと割り切ってエゾリンドウに分類することにした。

 当のエゾリンドウ(もしかしたらオヤマリンドウかもしれないが)は、そんな私の悩みなどには「われ関せず」と、山を渡る爽やかな風を受けて、気持ちよさそうに揺れている。

<参考文献>
『日本の野生植物 草本V』(佐竹・大井・北村・亘理・冨成編 平凡社)

<記事 2017年9月26日>

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