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 ハカタシダ    博多羊歯   オシダ科カナワラビ属

私が見つけたハカタシダ
私がみつけたもの <撮影:2015年12月>

別のハカタシダ

別のハカタシダ <撮影:2015年1月>
ソーラス
ソーラス <撮影:2015年1月>

ハカタシダというから、てっきり最初の発見地が博多市だったのかとずっと思っていたのだが、これがとんだ勘違い。葉の羽軸沿いに白い筋がでることが多いので(私は、残念ながらそういう個体をまだ見ていない)、それが博多帯に似ていることからきた名前なんだそうだ。たしかに、(写真で見た限りだが)そういうしゃれた雰囲気のあるシダである。
 多少の個体差はあるのだが、写真のように、羽片の数が少なく、頂羽片がすうっと長く伸びているこの姿。シンプルで、きりっとして、美しい。

 このシダは、私がよく行くエリアではまったく見かけない、どちらかと言えば暖地性のシダなのだ。それが昨年(2015)、サイゴクベニシダを見つけたいと思って、ある傾斜面をなめるように探索していたらこれに出会ったのだ。まさかこんなところに自生しているとは、全く予想もしていなかったので、最初は誤認の可能性を考えたのだが、しかしどこから見てもハカタシダにしか見えない。
 その後、シダについての知識が豊富な二人の先生に実物と写真を見てもらって、この同定に間違いないことがはっきりした。
 それにしても、そこにあったのはたったの1株。おそらく、登山者の身体についた胞子が斜面に定着し、気候が変化する中で発生の条件が整った、ということなんだろう。大きく言えば、地球温暖化、狭いところでも、群馬県エリアの気温がかなり上昇してきていることが、このシダにとっては好条件に変わってきたということなのではないか。

 『群馬県植物誌』(1987年)には掲載されていないし、県立自然史博物館の収蔵標本情報でも3点しか出てこないから、明らかに貴重な存在である。
 わずか1株しかないので、これが順調に育つのか、さらに株数を増やすことができるのか、見守っていきたい――シダ観察の楽しみがまた一つ増えた。

<参考文献>
『写真でわかるシダ図鑑』(池畑怜伸著 トンボ出版)

<記事 2016年2月24日>

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