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ヘクソカズラ  屁糞葛  アカネ科ヘクソカズラ属

ヘクソカズラ
花の中央がお灸の後に似ている「ヤイトバナ」 <撮影:2014年7月>

ヘクソカズラ
花を早乙女の笠に見立てて「サオトメカズラ」 <撮影:2014年7月>

植物の写真を撮っていると、通りがかったハイカーや観光客などから「それ、なんていう花ですか?」などと尋ねられることがある。きかれて悪い気もしないから、その花の名前だけでなく、ついでに近くにある植物の名前なども教えたくなって、ついついいろいろ口に出してしまう。それには一応感謝の言葉があるのだけれど、たいていそのあと、「とても覚えきれな〜い」「もうさっきの名前忘れちゃった〜」などと言われて、がっくりすることが少なくない。
 そういう人でも、この花の名は一度きいたら忘れることはないだろう、というほどに強烈な名前である。この花にとって、それはよいことなのか、悪いことなのか。
p莢(さうけふ)に 延(は)ひおほとれる 屎葛(くそかづら) 絶ゆることなく 宮仕へせむ 」(万葉集巻十六) 高宮王(たかみやのおおきみ)
※「さうけふ」=そうきょう=は、サイカチといわれている。
 万葉集にその名が刻まれるほどの由緒正しきものであるが、私の嗅覚がおかしいのかもしれないが、それほど臭いというわけではない(まあ、いい匂いとも言えないけれど)。揉んだりつぶしたりするとそれなりに臭うらしいが、なにも無理にそこまでしなくても。だからやっぱりこの名前はお気の毒。
 そういう思いを抱いたのは私だけではないらしく、ヤイトバナとかサオトメカズラなどの別名をつけてくれた人もいるようだが、それでもかの強烈な名前にはかなわないらしく、ほとんど広まっていない。こうなったらもう、「へくそ、だからなに? どんな美女でも屁も糞もするでしょうが」って開き直るしかないよね。

 アップにしてみればわかるけど、けっこうかわいい花です。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花』(監修/林弥栄 写真/平野隆久 山と渓谷社)

<記事 2017年2月18日>

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