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ホテイシダ   布袋羊歯   ウラボシ科ノキシノブ属

ホテイシダ
<撮影:2013年10月(下も)> ホテイシダ
私のカメラではここまでひきつけるのが精一杯

木が気になってUターン

クルマで、ある山の中の川沿いの道を走っていた時です。道の右側に一瞬、トチノキの大木が現れ、苔むした木肌に何やら薄緑色の植物らしいものがひらひらとしているのが見えたんですよ。「ノキシノブのようだな」と思ってそのまま通り過ぎてしまったんですが、それでもどうも引っかかる。「ノキシノブがあんなにヒラヒラしているものだろうか」
 考え、考え運転しましたが、車ですからたちまち離れてしまいました。しかし、どうしても気になって、空き地を見つけてUターンし、そのトチノキのところに戻ったんです。
 センターラインはあるものの路肩に余り余裕はなく、車を道路にはみ出して止めていると、走ってくるドライバーに露骨に迷惑気な顔をされましたが、心の中で謝りながら写した写真がこれです。

手に取ってみたかったなあ

そのとき持っていた図鑑には、これに似たシダはノキシノブ以外はのっておらず、名前は特定できませんでしたが、さやさやと風にそよぐようにブナの木肌にしがみついて、まるで海中に揺れる昆布か若布のようではありませんか(といっても、海の中の昆布も若布も見たことがありませんが)。
 しかし、私の背よりはるかな高みにあり、葉脈が透けて見えるほど薄く柔らかな葉に触れることができないのがなんとも残念でした。この魅力的な、名も知らぬシダに、時間の過ぎるのも忘れて見とれていた私でした。

こんな美しいシダを布袋の腹とは

あとでいろいろ調べて、薄い葉で、中央より下側が幅広く、ソーラスは円形で、葉の上半分だけにつくという特徴から、ホテイシダで間違いないだろうと確信できましたので、ここにアップしてみたわけです。
 和名は、幅の広い葉を布袋様のお腹に見立てたことに由来するそうですが、こんな美しいシダをあのぼってりとした布袋の腹に擬すとは、命名者の感性を疑いたくなりますね。
<参考文献>
「ノパの庭」(Web site)
「上州花狂いの植物散歩 失われゆく植物を求めて」(Web site)
<記事 2013年10月26日>

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