柊老人のほろ酔い人生 > 植物との出会いの部屋 > フユノハナワラビ

HOME | 植物の部屋 | 料理と食 | 随想・迷想

フユノハナワラビ    冬の花蕨   ハナヤスリ科ハナワラビ属

フユノハナワラビ

この植物を最初に教えてもらったときは、セリ科あたりの葉のように見えて、なかなか区別がつかずにいたのだが、実は、そうした種子植物ではなく、胞子で増えるシダ植物である。
 今の時期になると、この名前も、なるほどと納得できる。

栄養葉と胞子葉

シダには、一つの株に、光合成をつかさどる栄養葉と胞子をつける胞子葉という、二つの異なった葉をもつタイプが少なくない。フユノハナワラビもその仲間だ。
 その中には、外見上は栄養葉と胞子葉の見分けがつかないものもあるし、栄養葉と胞子葉の姿がまったく違うものもある。フユノハナワラビは、後者である。
 このシダは、名前の通り冬になると(実際は、秋になると、だが)葉が出て、翌年の夏にはまた枯れてしまう。そして、ちょうど今の時期、胞子葉が充実した姿を現すのだ。写真をご覧あれ。株の真ん中にすっくとたっているのが胞子葉である。そのてっぺんにびっしりついているのが、胞子をたっぷり入れた胞子嚢だ。

金の卵

胞子嚢は、ルーペでのぞくと小さなイクラが張り付いているようで、なんとも面白い。最初は淡い緑色をおびているが、次第に茶色っぽくなってくる。それがこの写真のように、光の加減でまるで金の卵のように輝くこともある。
 この姿を花が咲いているかのようにみなしたのが、名前の由来だという。

<参考文献 「シダ ハンドブック」(北川淑子著、文一総合出版)「原色牧野植物大図鑑」(牧野富太郎著、北隆館)>
<撮影日 2012年10月4日>
<記事 2012年10月25日>

#