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イチイ  一位  イチイ科イチイ属

イチイ
見た目はおいしそうだが… <撮影:2011年11月>

イチイ
たった1個の実でもなかなか存在感がある <撮影:2016年10月>

イチイ
木肌はこんな感じ <撮影:2011年11月>

漢字で「一位」と書くと、ついつい民主党政権時代の事業仕訳で「なぜ2位じゃだめなんですか」とピントはずれの質問をしてひんしゅくを買った女性大臣のことを思い出してしまう。閑話休題。

 ある日、暇に任せて田舎道をドライブしていたら、道端に真っ赤な実をたわわにつけた樹が目についた。急いで車を止めてみたら、イチイの樹だった。
 果実は、ビーズ玉を大きくしたような形をしている。真ん中に糸を通す穴が開いている様子も実によく似ている。この果実は甘くて食べられるそうだが、だからといってうっかり口にするととんでもないことになる。中の種には猛毒(タキシン)があり、摂取量によっては死に至る場合さえあるという。種をかんだり飲み込んだりしなければ大丈夫だと言われるが、このような恐ろしいものを試す気にはなれない臆病者の私である。
この毒は、葉にも枝にも含まれているというから、絶対に葉(落ち葉も)を口にくわえるようなことをしてはならないという。

 一位という名は、その昔、この材で高官の用いる笏をつくったことから、位階の正一位、従一位にちなんでつけられたそうである。木材としては年輪の幅が狭く緻密で狂いが生じにくく加工しやすい、光沢があって美しいという特徴をもっており、用材としての価値は高いようだ。これからつくられる箸や鉛筆などもあるようだが、口にいれても大丈夫なのだろうか(今の子どもは鉛筆をなめたりしないのか)。
 群馬県の白沢村はこの樹を「村の木」に指定し、国道沿いに立派なイチイの樹が保護されていた。わたしがイチイの存在を知ったのもそれがきっかけだったのだが、この村は沼田市に吸収合併されて、いまはない。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑5 樹に咲く花』(写真/茂木透 解説/城川・高橋・中川ほか 山と渓谷社)
『毒草を食べてみた』(植松黎 文芸春秋)
「Wikipedia」

<記事 2016年12月18日>

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