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イセザキトラノオ   伊勢崎虎の尾    チャセンシダ科チャセンシダ属

イセザキトラノオ
 <撮影:2015年10月>

イセザキトラノオ
親子の競演 <撮影:2015年10月>

盗掘にも負けずに復活

 植物観察の大師匠(おおししょう)であるM氏に案内していただいてこの珍しいシダを見ることができた。
 場所は、ある城跡に立つ記念碑の下である。碑の台座にあたるところにコバノヒノキシダやクモノスシダが何株も張り付いている。イセザキトラノオはこの二つのシダを親とする雑種なので、発生環境としては最高だ。
 M氏はもちろんここにあることを知っていて私を案内してくれたのだが、昨年、そっくり盗掘されてしまったため、今年復活しているかどうか心配だったそうである。
 盗掘されても根茎の一部が残っていたのか、それとも新しい株が生育したのかどうかについては定かではないが、数株のイセザキトラノオを確認することができた。M氏も安心の表情をしていたし、私も初めてこのシダに出合えてうれしい限りであった。
 葉質は少し厚みがある。下部の裂片はコバノヒノキシダによく似ており、葉身の先はクモノスシダの特徴が出ている。

伊勢崎市にちなむ植物

イセザキトラノオの「イセザキ」は、このシダの発見地である群馬県伊勢崎市にちなむ。地名は「いせさき」と濁らないのだが、他の地方の人はしばしば「いせざき」と発音するので、それが和名になってしまったのかもしれない。
 伊勢崎市といえば私の生まれ在所であるから、思い入れも一入であり、前々から一度このシダを見てみたいと思っていたのだ。それをご存じだったM氏の計らいには、重ね重ねの感謝である。
 植物名に「イセサキ(またはイセザキ)」とつくものを、寡聞にして私はこのシダ以外に知らない。手持ちの図鑑にも出ていない。それだけに、何とかこのシダを伊勢崎市内で見つけることはできないものかと思っているのだが、いまのところ全く発見できていない。第一、片親であるクモノスシダが見当たらないのだ。
市内のどこかにひっそりとでも生きていてくれればいいのだけれど。

※下の写真(親子の競演)の説明
  一番上の株はコバノヒノキシダ(葉が羽状に分かれている)。真ん中の株はクモノスシダ(細長い三角形。先がひょろっと伸びている)。その二つのシダを親とするのが、一番下のイセザキトラノオ。
 イセザキトラノオの特徴は上の写真(別株)でよくわかる。葉の下部はコバノヒノキシダのような裂片になっており、先はクモノスシダのようにひょろひょろっと伸びている。

<参考文献>
「上州花狂いの植物散歩」(Website)

<記事 2015年10月8日>

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