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カリガネソウ  雁草  シソ科カリガネソウ属

カリガネソウ
正面。円いものは蕾 <撮影:2017年9月>

カリガネソウ
横から見るとこんな感じ <撮影:2017年9月>

カリガネソウ
全体の雰囲気 <撮影:2017年9月>

気になっている植物を見つけるときに、不思議としかいいようのない偶然というものが、ときたまある。
 ある花の写真集のなかに、私がまだ出会ったことのないカリガネソウの写真が掲載されており、その所在地がぼんやりとにおわされていた。で、あるとき一緒に植物観察をしていたOさんに、その写真集を見せて「今日はこのカリガネソウの探索にちょっと付き合ってもらえませんか」などと話して、了解をいただいていた。
 探索は昼食後にしようということで、ちょっと珍しいアザミを見に行くために車を走らせていたら、おや、道路の右側にどうもみたことのない雰囲気の花が密集して咲いている。車を戻してよく見ると、なんと、先ほど話題にしていたカリガネソウが群れ咲いているではないか。
 Oさんは「ここ、知ってたんじゃないの?」などと疑いのまなざしを向けてきたが、いやいや、誓ってそんなことはない。普段は持参することのない写真集を持ってきて、車の中でそれを見ながらあれこれ話題にしてきたまさにそのとき、実際にカリガネソウに遭遇することができたのだ。神がかったような偶然というものがあるものだ。
 そこでじっくりと見たカリガネソウは、写真集で想像した以上に、個性的な美しい花であった。

 花弁は2枚の上弁、2枚の側弁、1枚の唇弁があり、紫色の上品な雰囲気を漂わせている。なんといってもびゅんと弓なりに突き出した雄しべ・雌しべが独特。この姿を雁(かりがね)に見立てたのが命名の由来だそうである。見ているうちにハナバチらしき昆虫が花に潜り込んでいたが、そのときに雄しべ・雌しべがぎゅんと縮んで、虫の背中に接触する。こうやって花粉のやり取りをしているのだろう。
 唯一の欠点は独特の臭気。何と言おうか、硫黄の匂いに近い異様なにおいが漂い、触った手にその臭いがこびりついて、しばらく車の中まで臭かったのには閉口した。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花』(写真/平野隆久 編・解説/畔上能力 山と渓谷社)

<記事 2017年9月11日>

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