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カツラ   桂    カツラ科カツラ属

カツラの黄葉
色づいたカツラの葉 <撮影:2014年10月>

カツラの雌花
雌花。紅いヒラヒラが柱頭 <撮影:2011年4月>

カツラの木
樹木全体像 <撮影:2014年10月>

アデランス――この木を見ると必ずこういうおやじギャグを飛ばす人がいる(誰?)。
 図鑑によれば「花粉の化石が白亜紀の地層から発見されたり、果実が更新世の地層から見つかったりするなど、かなり古い時代から生き残ってきた植物」だそうである。
   ※白亜紀――約1億4500万年前から6600万年前。更新世――約258万年前から約1万年前まで。

郷愁を誘う甘い香り

秋が来ると、この木はいちはやく黄葉を始める。私のよく行く桐生自然観察の森では、入口に近いところにこの木が立っている。そこに近づくと季節の変化を先取りできるような気がして楽しくなる。
 それにもまして魅力的なのが、この木が発散する香。木の下を通ると甘い香りが鼻腔を刺激する。この香りを最初に嗅いだとき私は、幼いころよく作って食べたカルメ焼を思い出した。
 ある観察会の時、その香りはマルトールという物質によってもたらされていると講師に教えてもらった。この物質は糖類を熱分解したときに生成するもので、ザラメなどにも添加されているという。ザラメといえば、まさにカルメ焼の本体である。子どもの頃、銅の皿のようなものの上で焦がさないようにカルメを焼いた思い出がよみがえってくる。そんなことから、この木の香りがいっそう好ましいものになった。

踊っているような花姿

柔らかくて円い葉は少しの風にも音を立ててそよぐ。縁には大きくて丸っこい鋸歯がついている。光の加減によっては、この鋸歯が浮き上がって見えてとても美しい。
 春の時期の花も独特である。
 雌雄別株なので、雄木には雄花、雌木には雌花がつく。どちらも花弁がないので、細いひものようなものがヒラヒラしているように見えるだけ。高い木などよっぽど目を凝らさないと目に入らない。
 写真中は望遠レンズで覗いた雌花。踊っているようにも、手招きしているようにも見える紅いものが雌しべだ。きっと花粉の訪れをわれさきにと待っている姿なのだろう。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花』(写真/茂木透 解説/石井・崎尾・吉山ほか 山と渓谷社)
「Wikipedia」

<記事 2015年10月13日>

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