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カザグルマ・シロバナカザグルマ 風車・白花風車 キンポウゲ科センニンソウ属

シロバナカザグルマ
日本の野草の中で最大の花 <撮影:2013年5月>

シロバナカザグルマ
ノイバラとからまって咲いている <撮影:2013年5月>

シロバナカザグルマ
開花し始めの姿 <撮影:2016年5月>

しばらく前、植物学のO博士にある花を標本用に届けた時、それがあった場所の近くに「カザグルマが咲くと思うので、ぜひ標本用に採集してほしい」と依頼された。
 カザグルマは、私がよくいく里山では毎年のように見ているのだが、別の地域ではまだ見たことがなく、新しい生息地を知りたかったので、いわば「望むところ」という感じでこの依頼を引き受けた。
 それでも、実際に新たな自生地を探すとなると簡単ではない。声をかけた人の中には「ああ、それならあるよ」といとも簡単に言う人もいたのだが、よく聞いてみると前に山から持ってきたものが庭にあるというのだ。これでは自生とは言い難いので、丁重にお断りせざるを得なかった。
 自分でもありそうな場所をうろついてみたのだが、そうそううまくは問屋が卸さない。
 そんなとき、植物仲間のTさんから「Yさんなら自生地を知っているから、すぐ連絡したら」と電話が入った。で、早速Yさんに電話をすると快諾が得られ、その日の午後には案内してもらえることになった。
 「念ずれば花開く」ではないが、Yさんをのせて目的地にむかう道すがら、道路の擁壁の上に大きな白い花がちらっと見えた。「もしかして」とあわてて車を戻すと、なんと、探していたカザグルマではないか。興奮状態で擁壁をよじ登り、1花採集した。道路脇なので、なんだか盗掘をしているような後ろめたさを感じながら。
 そのあとYさんに案内された場所は、川に落ち込む崖のぎりぎりのところ。そこにはたくさんのカザグルマが咲いている。白花だけでなく、薄紫の花もある。薄紫の花を採集しようと思ったが、竹は生えているのだが足場になるところが実に頼りなくて、下の川が透けて見える。落ちれば命に係わるところでおっかなびっくり体を伸ばして、なんとか1花切り取ることができた。ただ、採集に夢中で、写真を撮り忘れてしまったことが悔やまれる。

 カザグルマはテッセンとともに、クレマチスと呼ばれる庭の栽培植物の原種である。大輪でありながら、優しい風情で気品があり、実に美しい。ほしくなる気持ちは分からないではないが、乱獲されたために自生は激減し、いまでは環境省および群馬県の絶滅危惧種に指定されている。
 花の中心部にある下半分が白くて上が紫色のものが雄しべ。紫色のものが葯である。
 白花のカザグルマは「シロバナカザグルマ」として、カザグルマの品種に位置付けられている。ここにあげた3枚の写真はいずれもシロバナカザグルマということになる。紫色のカザグルマの写真を撮ったら、すぐにアップしたい。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花』(監修/林弥栄 写真/平野隆久 山と渓谷社)

<記事 2016年5月18日>

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