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キバナノヤマオダマキ・ヤマオダマキ黄花の山苧環キンポウゲ科オダマキ属

キバナノヤマオダマキ
うつむいて咲く姿がたまらない <撮影:2016年7月>

キバナノヤマオダマキ
つい下からのぞきたくなる <撮影:2008年7月>

ヤマオダマキ
ヤマオダマキの色のバランスもなかなか <撮影:2015年7月>

ヤマオダマキも、その品種であるキバナノヤマオダマキも、山に登ればそれこそどこにでもあるような花である。それでも、この花の気品と美しさには、何度出会っても魅了されてしまう。
 いろいろな場所での出会いがあるのだが、なかでも忘れられないのが野反湖のほとりのことだ。
 いまは故人となってしまった山の師匠であるN氏に連れられて八間山に登った後、出発点に戻るために野反湖の東の湖畔の道を疲れた足で歩いてきたのだが、そこは、オニアザミ、オトギリソウ、ノアザミ、ノリウツギ、イブキトラノオ、ノゾリキスゲ(ゼンテイカ)、コオニユリ、センジュガンピ、ハクサンフウロ、コバギボウシ、シモツケ、ノハナショウブ、ヨツバヒヨドリなどが咲き乱れ、花の蜜を求めてたくさんの蝶たちが乱舞する、まさに楽園のような場所だった。
 N氏に山に連れて行ってもらうようになってからわずかしかたってない時期だったから、この光景に私は完全に興奮状態になり、山に登ってきた疲れなどすっかり忘れて写真を撮りまくっていた。
 そういう場所にあっても、恥じらうようにうつむき加減に咲いているキバナノヤマオダマキの美しさは、別格の存在であった。触ったとたんにハラハラと零れ落ちてしまいそうな透き通った萼片、雄しべ・雌しべをいつくしむように包み込む花弁は、さらに後ろに伸びて凛とした距を立ち上げる。色といい、形といい、言葉に尽くせない絶妙のバランスで作られている花の姿。
 花弁の中の構造にも興味を持って、ぐっと屈みこんで下から花の中を覗いたのだが、その時の、女性のスカートの中を覗き見するような背徳感(まるで小遊三)。
 すでに10年も前のことなのだが、あの時の感覚が昨日のように蘇ってくる。

 そんな経験を経ているので、ヤマオダマキ・キバナノヤマオダマキに出会うと、いまだに、なんとなくくすぐったい感触が一向に消え去らない私なのである。

<参考文献>
『日本の野生植物 草本U』(佐竹・大井・北村・亘理・冨成編 平凡社)

<記事 2016年7月24日>

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