
<撮影:2014年8月>

<撮影:2014年8月>

自己消化後の姿(?)<撮影:2014年8月>
こんなところに、こんな植物が!
初めての植物に出会うときとは、案外こんなものかもしれない。
とにかく、しょっちゅう行っている場所なのだ。春には、オカスミレが点々と咲いているのを観察した小さな崖であり、その後の季節には、高木に巻きついて葉の陰からわずかに色を見せているジャケツイバラの花を、首が痛くなるような思いをしながら双眼鏡で確認した、そのとき立ち止まっていた場所を、その日は特になんということもなしに歩いていて、ふと、見たこともないような姿の植物に視線が合ったのだ。
それがこのキヌガサタケであった。
以前にパラパラとめくった茸図鑑でちらっと見たことがあるような、ないようなという程度のまったく不確かな記憶だったが、多分これは、アミガサタケだかキヌガサタケだかというキノコに違いないと一目見て直感し、興奮しながら同行の植物仲間に知らせた。
レース編みのスカートを着て
キノコについての私の知識は極めて乏しいので、ここに掲載するのが実は恥ずかしいのだが、この姿の美しさを他の方々にも見ていただきたいという、その思いだけでご勘弁をいただきたい(というほど完璧な姿の個体でないのが、またまた恥ずかしい)。
ここから先は、ウィキペディアの引き写しだが、普通のキノコでいえば傘の部分にあたるものは、薄い褐緑色の基本体でおおわれており、それを支えている軸(「托」という)の伸びが限界に達したところで、かさの下端と托の基部付近をつないでいた殻皮内層が切れ、それに引き出されるようにして、かさの内面に折りたたまれていた菌網と呼ばれるレース状の附属器官が伸び始める――ということである。
すなわち、このレース編みのスカートのようなものは「菌網とよばれる付属器官」なのだ。これで、胞子を運ぶ虫たちを引き付けようというのだろうか。虫だけではなく人間さえもひきつける美しい姿だ。
この基本体は、その後「自己消化」を開始し、わずかな時間でその姿を消してしまう。私が撮影したのは、自己消化の開始直後のようで、菌網に大きな破れ目ができ始めていた。
偶然性に大きく支配されるこのキノコとの出会い。次は、いつのことになるだろうか。
<参考文献>
「Wikipedia」
<記事 2014年8月26日>