柊老人のほろ酔い人生 > 植物との出会いの部屋 > コシノカンアオイ

HOME | 植物の部屋

コシノカンアオイ    越の寒葵   ウマノスズクサ科カンアオイ属

コシノカンアオイ

撮影2012年4月6日

コシノカンアオイの花コシノカンアオイの花 撮影2013年3月8日

これが花?

コシノカンアオイの花は、三角形の萼片が3枚くっついて丸い口をあけた形で、まるで土の上に転がっているように見えます。日本海側の山地に多いそうで、私はまだ自生のものを見たことがありません。これとよく似た花をつけるウスバサイシンは、初夏の山でよく見かけますが、同行の人たちに「ほら、ウスバサイシンがあるよ」と伝えると、ほとんどの人が異口同音に「これが花?」と言い、すぐに興味を失って、立ち止まることもなくまた歩き始めるのが常です。

解剖してみた

確かに、きれいな花とはお世辞にもいえないので不審がられるのでしょうが、中を見れば、花の実質はちゃんと備えられています。
 先日、私の所属する植物クラブの仲間たちと、似た種がいろいろある中で、これがコシノカンアオイに相違ないという証拠を得るために、1花に犠牲になってもらって「解剖」してみました。
 下の写真は、花を半分に割ったものです。上に突き出しているのは、花弁ではなく萼片です。それが筒状になっています。その分厚い萼筒の内側には、格子状の凹凸模様がくっきりとついています。この模様の違いが、種を決める一つの根拠になります。真ん中にある太いものが雌しべで、黒っぽい柱頭が数本に分かれており、下の子房の中には魚卵のような胚珠がつまっています。その周りには雄しべが張り付いていて、下の写真では、右の葯が割れて黄色い花粉がのぞいています。
 薄暗い針葉樹の森の中で静かに咲いているコシノカンアオイ。どんな虫がその花粉を運ぶのでしょうか。やがてできる種には、種枕がついています。それを目当てに蟻がやってきて種を運び出し、散布します。
<参考文献  『山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花』(畔上能力・編 山と渓谷社)>
<記事 2013年3月23日>

#