柊老人のほろ酔い人生 > 植物との出会いの部屋 > コチャルメルソウ

コチャルメルソウ  小哨吶草  ユキノシタ科チャルメルソウ属

コチャルメルソウ
奇妙と思うかかわいいと思うか <撮影:2016年5月>

コチャルメルソウ
やっぱりかわいい <撮影:2016年5月>

コチャルメルソウの果実
もう果実ができはじめている <撮影:2016年5月>

図鑑やネット情報などでは見ていながら、実物を見たことがなくて、いつかは本物を見てみたいというものがいろいろある。そういうものと出会えたときこそ"僥倖"というのだろうなあ。
 つい先日のことである。ある高原に出かけていろいろな花を観察・撮影した後の帰り道、とくに意識していたわけではないのだが、道端に咲いていたラショウモンカズラを見つけて車を止めた。ラショウモンカズラは特に珍しくはないが、なんとなくくっきりとした青紫の花を撮りたくなったのだ。そして、いつものようにその周囲に何かないか目を配ったら、おや、くすんだ薄緑色の見たことのないものがある。
 じっと見たのだが、その瞬間は分からなかった。うむむと鈍い頭を回転させ、ようやくたどりついた。ああ、これ、チャルメルソウだ! あわてて車に乗せてある図鑑と照らし合わせ、コチャルメルソウであることを確信した。

 奇妙な姿をしたこの花に、ずっと前から会いたかったのだ。ただ、わが行動範囲の中のどこにあるのかについての情報がなく、ほとんどあきらめかけていた。最近、アマミチャルメルソウが新種として話題に上っているのを横目に見ながら、さすがに群馬でアマミ〜が見られるはずはないにしても、せめてチャルメルソウ類のどれかを見たいものだとわずかな願望を持ち続けていたのだ。
 その思いがかなった瞬間であった。ごく小さく、いろどりも決して華やかではないが、それでも十分かわいらしくて、楽しくて、美しい花であった。雄しべの葯の様子からみると、少し盛りを過ぎているようだったので、来年は、もう少し早い時期、一番輝いているときにぜひ訪れてみたい。

 真ん中にある5つ星が雄しべ、細かく羽状に裂けているのが花弁である。
 果実が楽器のチャルメラに似ていることから名づけられた名前だそうなので、いずれ果実もじっくりとみてみたい。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花』(写真/平野隆久 編・解説/畔上能力 山と渓谷社)

<記事 2016年5月21日>

#