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クモノスシダ  蜘蛛の巣羊歯  チャセンシダ科チャセンシダ属

クモノスシダ
 <撮影:2014年11月>

クモノスシダ
 <撮影:2015年10月>

クモノスシダの胞子嚢群
たっぷり増えた胞子の集まり <撮影:2014年11月>

蜘蛛の巣という名前からは網のように広がる姿を連想するかもしれないが、それほどわかりやすい恰好にはならない。それにしても他のシダではあまり見られない姿であることは確かだ(写真をご覧ください)。
 葉の先はす〜と細くなっている。この先端部分に無性芽がつく。そこで定着して新しいクモノスシダが育っていく。ただこれはクローンなので、数が増えるだけで、遺伝的な多様性は生み出されない。
 そのあたりはなかなかうまい具合になっていて、一方では胞子もちゃんとつける。こちらからは有性生殖によって新しい遺伝子を持った世代が生み出されていく。
 無性芽で数を稼ぎ、胞子で遺伝的多様性を確保する。進化の戦略としてはなかなかのものであるが、そのわりにはどこにでもあるというわけでもない。
 手近の図鑑によれば、山地の石灰岩や安山岩の岩でないとうまく繁殖できないようだ。そういうふうに生育環境にきびしい条件があるだけに二正面作戦で子孫を残すように進化してきたのかもしれない。とはいえ、どうみても石灰岩とは思えない、しかも平地の人工の石垣などに生えていることもあるので、その辺の細かい話になるととても私の手にはおえない世界となる。

 まあとにかく独特の姿なので、見飽きることがない。
 また、このクモノスシダとコバノヒノキシダの間に、雑種イセザキトラノオがまれに作られるので、それを探すのも楽しみの一つである。

<参考文献>
「上州花狂いの植物散歩」(Website)
『日本の野生植物 シダ』(岩槻邦男編 平凡社)

<記事 2017年10月19日>

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