柊老人のほろ酔い人生 > 植物との出会いの部屋 > ミミガタテンナンショウ

HOME | 植物の部屋

 ミミガタテンナンショウ    耳形天南星   サトイモ科テンナンショウ属

ミミガタテンナンショウ
立派な耳を持つ花 <撮影:2012年4月>

ミミガタテンナンショウ
後姿 <撮影:2012年4月>

ミミガタテンナンショウ
緑色の花 <撮影:2012年5月>

彼たち(彼女たち)は、なにゆえにこれほど大きな耳を持つことになったのだろうか。
 日本には(外国のことは知らないので、たんなる限定です)、福耳と言って、大きな耳をありがたがる言い伝えがあり、恵比寿様とか大黒様はみんな縦長のばかでかい耳をしているが、テンナンショウがそんな事情を知るわけもなく、かれらがこんな大きな耳をしているのは、結局のところ謎である。手近の図鑑にも「耳状に張り出している」とあるだけで、その理由は何も書かれていない。
 で、浅学菲才の私めが独断と偏見で申し上げることにするが、これは花粉を運ぶ虫たちに、よりわかりやすく花のありかを示すとともに、「花粉運びの長旅ご苦労様」と、休憩するための縁台代わりに使ってもらおうという意図で作ったものなのだ。
 虫たちはここに止まって休憩した後、おもむろに筒の中に入って行き、雄花なら蜜と花粉をいただいて外へ出てくるし、雌花の場合は、あわれ囚われの身となって花粉を雌しべに付けるだけで一生を終えるのである。
 閑話休題
 全国的な分布は、関東地方にかなり偏っているようだが、群馬県内では私が見た限りでは県西部に限られる。中部・東部ではまったく見たことがない、珍しいテンナンショウに思えるが、西の方に行けば道路脇にも草原にも当たり前のように立っていて、ちっとも珍しくない。
 それにしても、幾度みてもこのふくよかな耳は面白い。国民の声を聞く耳を持たないアベやスガにこの花のきれっぱしを煎じて飲ませたいものである。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花』(監修/林弥栄 写真/平野隆久 山と渓谷社)


<記事 2016年4月27日>

#