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ナンバンギセル   南蛮煙管   ハマウツボ科ナンバンギセル属

ナンバンギセル
なるほど煙管のようではある <撮影:2015年9月>

ナンバンギセル
円いオレンジ色は雌しべの柱頭 <撮影:2015年9月>


寄生植物

一見しただけでは、キノコ?とかギンリョウソウの仲間?とか思いそうだが、どちらでもない。葉緑素を持たない寄生植物で、ススキなどの根に寄生する。名前は、その姿を見れば誰もが納得するものである。

日常生活のすぐ隣に

これまでは図鑑でしか見たことがなかったのだが、自然保護サークルのメンバーであるH氏から開花情報がはいり、場所も教えていただいたのでさっそく生息場所に行ってみた。
 そこは地域の人々の憩いの場所のようで、狭い未舗装路をゆっくり車で進んでいくと、散歩している人、ランニングをしている人、釣りをしている人、いろいろな人と出会う。
 目的地に着かないうちにキノコや他の植物に目がいって、そのたびに車を止めて写真を撮る。クルマアザミを撮影しているときには、2人連れの散歩の人に「なにかいい花があるのかい?」と声をかけられた。
「アザミです」というと「ふーん」とつまらなそう。
「この先に、もっといい花があるよ」
「へえ、どんな花ですか」
「ナンバンギセルさ。知ってるかい?」
「いや、まだ見たことはないんですが、知人から咲いているって情報をもらったので、これから行くところです」
 そんな会話になるほど、この地域の人には知られているようだ。
そして、現地に行ってみると、実にわかりやすい場所に、しかも実に写真を撮りやすい場所に固まって生えているではないか。いやー、ありがたいありがたい。

 このナンバンギセル、群馬県内では生育地は限られており、なかなか珍しいものなのである。でも、毎日のように散歩をして、季節になれば毎年のように見ている人たちにとっては珍しくも何ともないのだろう。日常生活のすぐ隣に貴重な植物が普通に存在する――植物とのこういう関係もなかなかいいものだと思う。
 それにしても、穴だらけの未舗装路。洗車したばかりのクルマがべたべたになってしまった!

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花』(監修/林弥栄 写真/平野隆久 山と渓谷社)

<記事 2015年9月28日>

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