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ナンバンハコベ   南蛮繁縷   ナデシコ科ナンバンハコベ属

ナンバンハコベ
<撮影:2015年8月>

ナンバンハコベ
 <撮影:2015年8月>

これは栽培品?

この一見奇妙な花を見たのは2年前。場所は尾瀬。
 そもそもこれは花なのだろうかと、真剣に疑ってしまった。そして、こんな奇妙なものはおそらく外国産の栽培品が野に逃れ出たのに違いないと思いたかったのだが、まさか尾瀬にそれはないだろう、じゃあこれは何?と、なんとも訳の分からないもやもやした気持ちのまま家に帰ったことを、つい最近のように覚えている。
 率直に言って、この花姿からは、所属の科も属もまったく思い浮かべることができなかった。
 そういうときは仕方がないから、必殺「図鑑総めくり」の技を繰り出すしかない。
 そしたら、あったのだ。「山渓ハンディ図鑑 野に咲く花」のなかに。「野に咲く花」は、比較的標高の低い街の中や田園地帯、野原などの植物を扱っているので、尾瀬の植物がこの中にあったこともまた驚きであった。まあそれにしても、こうしてようやくこの植物の所属と名前にたどり着くことができたのだ。
 図鑑の説明では、この花は外国産でも、栽培品でもなく、日本を含むユーラシア地域に昔から分布しているというではないか。誰が名づけたか知らないが、異国風の変わった姿をしているということでナンバンハコベという名をいただいたようである。私の第一印象からしても、命名者の心境がよく分かる。

踊る白花

白い花弁が大きく飛び出し、曲がってそり返っている。その先端は2つに分かれ、割れ目の少し下の内側には2つの鱗片がへばりついている(上の写真でなんとか判別できるでしょうか)。雌しべも3つに分かれて、くねくねした感じである。全体が、なんだか異国の踊りを踊っているようにさえ見える。
 ふっくらとした萼片(緑色)に包まれた真ん中には大きな子房がある。これがそのうち果実となっていくのだ。

 今年は、はじめて尾瀬以外でこの花を観察することができた。あるスキー場の近くのあぜ道のほとりだった。写真はその時のものである。

<参考文献>
『日本の野生植物 草本U』(佐竹・大井・北村・亘理・冨成編 平凡社)
『山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花』(監修/林弥栄 写真/平野隆久 山と渓谷社)
<記事 2015年8月29日>

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