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サイゴクベニシダ   西国紅羊歯    オシダ科オシダ属

サイゴクベニシダ
全体像 <撮影:2015年11月>

サイゴクベニシダ葉裏
葉裏のソーラス <撮影:2015年11月>

サイゴクベニシダ葉柄
葉柄につく鱗片 <撮影:2015年11月>

冬になって多くの草花が枯れると、冬でもあおあおとしている常緑のシダが目立つようになる。そのせいかどうか、これまで何度も歩いていた里山の道で、県内ではかなり珍しいシダを見つけることができた。それがこの、サイゴクベニシダである。
 いつものように植物愛好仲間と歩いていた時である。雰囲気はベニシダに似ているのだが、葉の小羽片が丸っこくて、しかもなんだかいじけたようになっているシダを見つけた。こんなベニシダ、みたことがない。
 最初はベニシダの成長不良、ないしは奇形かとも思ったのだが、どうしても違和感がある。葉の裏を返してみると、ソーラス(胞子嚢群)のつき方がベニシダと明らかに違うのだ。
 ベニシダは、小羽片の中軸と辺縁(へり)の中間または中軸寄りにつくのだが、こちらはあきらかに辺縁寄りについている。
 鱗片が赤っぽい褐色で大きく、しかも密生している所もベニシダとは異なる。
 これはどうもベニシダとは別のシダかもしれないと図鑑をあたってみると、サイゴクベニシダに関する記述とよく符合することが分かった。
 しかし、悲しいかなサイゴクベニシダというものを見たことがないので、なんとも確信が持てない。そこで、日頃いろいろ教えていただいている専門家に尋ねたり、ネットの掲示板で教えを乞うた結果、サイゴクベニシダであることが判明したのだ。

県内ではめずらしい

県立博物館に問い合わせたところ、県内でのサイゴクベニシダの公式記録は、1982年に1件あるだけ(さらにもう1件あるようだが、こちらは博物館が詳細な場所を把握していないようである)。ということだから、全国的には(とくに西日本)珍しくはないが、県内ではけっこう珍しい部類に属するようだ。

 私のシダの先生は「冬こそ、シダ観察に絶好のとき」と、85歳の高齢をものともせず寒風の中を走り回っている。今年も、そんな時季が到来したのである。先生に比べれば「若い」わたしもがんばらねば。

<参考文献>
『日本の野生植物 シダ』(岩槻邦男編 平凡社)
『しだの図鑑』(光田重幸著 保育社)

<記事 2015年11月28日>

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