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シナノキ  科の木  アオイ科シナノキ属

シナノキ花
雄しべも雌しべも長い <撮影:2013年6月>

シナノキ若葉
紅いのが托葉 <撮影:2012年4月>

シナノキ実
長い総苞葉がヒラヒラしている <撮影:2013年6月>

シナノキ冬芽
2枚の鱗片の大きさが異なる <撮影:2017年12月>

この木の名前を聞いたとき、かつて中国のことを指した支那(いまでは差別的な用語として忌避されている)がもとになっているのかと思ったら、それはまったくの見当はずれ。学名がTilia japonicaとあるように、日本の固有植物だった。
 いくつかの図鑑をあたったのだが、語源まで触れているものは見当たらなかった。行き当たったのはインターネットの樹木に関するサイトだった(下欄参照)。それによれば、「『シナ』は、アイヌ語の結ぶ・縛るの意」であり、「アイヌ語では、この木を「ニペシニ」(縛るものという意味)とよんだ」という。
 今の長野県がかつては信濃の国と呼ばれたのも、この樹が数多く生えていた地であったために、シナノ―科野―信濃となったのだという。

 写真のように花は雄しべも雌しべもすごく長い。花弁・萼片・花弁状の仮雄しべがそれぞれ5個ある姿は独特だ。さらに、蕾を包んでいた総苞葉が大きく、果実期まで残り、それが果実と一緒に風に吹かれてひらひらと落下するのもまた独特である。
 葉はアバウトに言えばハート形なのだが、左右の形が同じでなく、歪んでいる。若葉の季節には赤い托葉が目立って美しいが、これはまもなく落ちてしまう。
 ということで、いろいろな独特さをもつ樹木だが、(釈迦がさとりをひらいたという)ボダイジュがこの仲間であることを考えると、その独特さも何か神がかっているような気がしないでもない。ただし、釈迦にかかわるボダイジュは、実際にはクワ科のインドボダイジュだそうで、アオイ科のこちらとはだいぶ縁遠いようなのだが。そこらへんのことになると、なんともぐちゃぐちゃしていて面倒この上ない。

<参考文献>
「木のぬくもり・森のぬくもり」(Website)
『山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花』(写真/茂木透 解説/太田・勝山・高橋ほか 山と渓谷社)
「Wikipedia」

<記事 2017年12月27日>

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