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スミレ  菫  スミレ科スミレ属

スミレ
全身に微毛をまとっている <撮影:2013年5月>

スミレ
アスファルトのわずかな隙間に生育 <撮影:2016年4月>

標準和名がスミレである。植物に詳しい人は別として、スミレと言えば、三色すみれを思い浮かべる人もいれば、かわいいビオラを思い浮かべる人もいるだろう。路傍や野に咲く野生のスミレを思い浮かべる人はなかなかの通だ。
 それらは総称として「スミレ」と言われているので、このスミレ科スミレ属スミレとの区別が非常に紛らわしい。
 それで、関係者は、このスミレの学名(ビオラ・マンジュリカ)をとって、あえて「マンジュリカ」と呼びならわすことが多いそうである。マンジュリカというと、なんとなくかわいらしい女性をイメージするかもしれないが、何のことはない、いまでいう中国の東北部、満州にちなんだ名前だという。

 で、このマンジュリカだが、かなりの標高になる高原でも咲いているし、平地の町の中、それもアスファルトの小さな割れ目のようなところでも、平気で花を咲かせ、子孫を増やしている。なかなか環境順応力に優れたたくましいスミレなのである。
 葉はやや長い鉾形ですっきりしている。葉柄には翼がある。毛の有無には変化がある。花色は濃い赤紫で、きりっと立ち上がり、悪条件の場所でも凛として咲いている。まさに、スミレ属を代表するにふさわしい美しい花である。
 この花を「真スミレ」とか「本スミレ」とかいう人もいるようだが(実際、テレビなどで聞いたことがある)、こうなると、「じゃあ、他のスミレはニセモノだったり、ウソだったりするのかよ」と突っ込みたくなるので、あまりよい呼称とは思えない。やっぱりスミレはスミレ、ときにマンジュリカでいいんじゃないだろうか。
 そのほかのスミレについては、タチツボスミレとかノジスミレとか、その花の固有の名前で呼んでもらえるように、知識を広めていきたいものである。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑6 日本のスミレ』(写真・解説/いがりまさし 山と渓谷社)

<記事 2017年1月16日>

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