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スミレサイシン  菫細辛  スミレ科スミレ属

スミレサイシン
 <撮影:2015年6月>

スミレサイシン
 <撮影:2015年6月>

スミレサイシン
距はぼってりとして白い <撮影:2017年6月>

6月の尾瀬、このスミレが登山道に沿って次から次に姿を現す場所がある。雨模様のこの季節に尾瀬を訪ねる楽しみの一つになっている。やや大きめの淡紫色の花がしっとりと露を含んでいるのは、なんともいえない風情がある。
 地方によっては太くて長い地下茎をすりおろして食べるそうだ。「サイシン」というから、この根が辛いのかと思っていたら、そうではなかった。辛い根、細い葉柄をもつカンアオイを「サイシン」とも呼び、その仲間であるウスバサイシンの葉にこちらのスミレサイシンが似ていることから「サイシン」が付いたという、まことに持って回った話であった。ちなみに、スミレサイシンの根は辛くないのだそうである。

 昨年発行された「日本植物分類学会」の雑誌「分類」(第17巻第1号)にアケボノスミレとスミレサイシンの雑種についての論文が載っていた。この両者が生育している場所に行き当たれば、新しい雑種(アケボノスミレサイシン)に出会えるかもしれない。今年のスミレ観察のひそかな楽しみである。

<参考文献>
「上州花狂いの植物散歩」(Website)
『山渓ハンディ図鑑6 日本のスミレ』(写真・解説/いがりまさし 山と渓谷社)
『野草の名前 春』(文庫版)(高橋勝雄著 山と渓谷社)

<記事 2018年3月13日>

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