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トキワシダ  常盤羊歯  チャセンシダ科チャセンシダ属

トキワシダ
ほぼ全体 <撮影:2016年8月>

トキワシダ
ソーラス(胞子嚢群)は直線状 <撮影:2016年8月>

トキワシダ
冬には縮まる葉も <撮影:2015年12月>

このシダの生育地を教えてくれたのは、私の植物観察の大師匠であるM氏。切り立った断崖がつらなる細い谷底道にそれはあった。
 M氏は何度もそこを訪れているらしく、町の中の道路と何も違わないような雰囲気でそのシダを教えてくれたのだが、初めてその地に立った私にとっては、頭上に迫る大きな岩に何とも言えない圧迫感を感じ、こわごわとした思いで写真を撮ったことをいまでもよく覚えている。
 常緑のシダで、盛んな時期は1回羽状の青々とした葉をくっきりとのばして、美しい。しかし、秋が深まるとしおれて縮んだ葉も目立つところを見ると、常緑ではあってもそれほど寒さに強くはないのかもしれない。

 M氏からは、このシダの生息地は群馬県西部で、県内では比較的珍しい、ということも教えてもらっていた。たしかに、県のレッドデータでも絶滅危惧U類に位置付けられている。
 その珍しいシダを今年、群馬県東部の谷筋で見つけたときは、まさに小躍りするという感じだった。「この地域では新発見か」と、県東部の植物に詳しいS氏に報告しようと思ったが、あわてて恥をかくのもなんだからと県東部の某市の植物記録を見たら、なんと、補遺の補遺に記載されていたのである。先人、恐るべし。
 ということで、「新発見」は私限りのことになってしまったのだが、それにしても、自力でこうしためずらしいシダを見つけることができたのは、なんとも嬉しかった。これがあるから、やめられないんですよ。

<参考文献>
『日本の野生植物 シダ』(岩槻邦男編 平凡社)
「上州花狂いの植物散歩」(Website)

<記事 2016年11月16日>

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