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ツメレンゲ   爪蓮華    ベンケイソウ科キリンソウ属

ツメレンゲ
 <撮影:2015年10月>

ツメレンゲ
 <撮影:2011年11月>

秘密の観察体験

あれは、私が植物観察の師匠であるK氏と知り合って間もなくのことだった。
 ある植物観察会の講師をしていたK氏の該博な知識と飾らない人柄にひかれて、「観察会以外でもいろいろ教えていただけないか」とずうずうしくもお願いしてまもなく、K氏から「行きますか」と誘われた、秋も深まった頃であった。
 1日、あちこちと引っ張りまわしてもらい、これまでの人生で見たこともない数々の植物を教えてもらった。季節が季節だから花はほとんどなかったのだが、それでも「こんな植物が、こんなところにあるのか」と衝撃の連続であり、これはそれから今にいたるまで続くK氏による植物観察指導の始まりとなるものであったのだ。

 その1日が終わるころには雨が降ってきていた。
 K氏が道路脇に車を止めて「少し先にあるんだけれど、あまり長く立ち止まらないで、すぐ戻るように」となんだか秘密めかしいことを言いながら教えてくれたのは、道路の法面に生えていたツメレンゲであった。
 通行車両が途切れたことを確認して一気に近寄り、とにかく急いで写真を撮って、その場を離れた。
 K氏によれば、ここにツメレンゲのあることが知られれば、たちまち盗まれてしまうのだという。植物観察にはそういう一面もあることを知らされた日でもあった。

ピンクにも見える白花

図鑑(下記)によれば、ツメレンゲは、葉が細長くて、先端が刺状にとがっている状態を動物の爪に例えたものだという。葉は厚みのある多肉質で、ロゼット状につく(これがレンゲの由来か)。そこから花茎が伸び、密に花がつく。
 花は白花ではあるが、花粉を出す前の葯が暗紅色で、花弁の裏側に赤みがあるので、全体的にピンク色の花のような雰囲気にも見える。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花』(監修/林弥栄 写真/平野隆久 山と渓谷社)

<記事 2015年11月8日>

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