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 ツルデンダ           オシダ科イノデ属

ツルデンダ
 <撮影:2013年10月>

ツルデンダのソーラス
ソーラス <撮影:2014年7月>

このシダがオシダ科イノデ属に分類されるというのは、初心者の私には何とも不可解だった。とにかくイノデ属と言えば、イノデやアスカイノデに見られるようにシダの中でも大きな部類に属し、葉柄にはもしゃもしゃと鱗片がへばりついて、まさに猪手だなあと一目で納得するような、そういうシダを擁する属なのだ。
 しかも、イワデンダという、全体の姿も、ソーラスのつき方も、一見するとかなりよく似ているシダもあり、こちらはイワデンダ科(ないしはメシダ科)に所属しているのだから、なんともややこしい。
 もちろん、いまでは全体の雰囲気が分類の決め手ではないことくらいは分かってきているが、それでもなんだか腑に落ちない、そんなシダである。

 谷の道を走りながら、少し湿った岩肌をみていると、たいていこのシダがある。
 細長い羽状の葉がじわじわ伸びて行ったその先は、細いつる状になっており、そこに無性芽がつく。そしてそこに根を下ろして新しい個体を増やしていく。同時に、葉裏には胞子をつけ、こちらからも子孫を増やしていくという2面作戦をとって種を維持している。
 葉裏のソーラス(胞子嚢群)は、葉の縁、それも前側に並んでつく(写真のようにごく一部が後側につくものもある)。
 以前ある人に「シダは裏側の粒々が気持ち悪くて、嫌い」と言われたことがあるが、このシダの裏側などは、その代表格かもしれない。こういうものを面白がる自分がいることをもう一人の自分がみていて、「ああ、随分シダ観察の深みにはまっってしまったことだなあ」と苦笑するのである。

<参考文献>
『日本の野生植物 シダ』(岩槻邦男編 平凡社)

<記事 2016年1月26日>

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