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 ヤマコウバシ    山香し   クスノキ科クロモジ属

ヤマコウバシ
花 <撮影:2015年4月>

芽吹き
芽吹きの姿はなかなか美しい <撮影:2012年4月>

冬の里山を歩くと、茶色く枯れた葉でありながら、落葉せずにいつまでも残っている木がある。その代表格がヤマコウバシである。夏は他の葉に紛れて目立たないが、この季節だけは遠くからでも実によくわかる。
 葉が落ちないのは、はっきりした離層を形成しないことに原因があり、コナラなども(特に若い木)そうだ。これらの植物の祖先が常緑性で、その性質を保ったまま温帯域まで分布を広げた結果だと言われている。

 ヤマコウバシはまた、雌雄別株なのだが、日本には雌株しかない。雌株であれば当然、雌花しかつけない。ところがちゃんと結実するのである。秋には黒く熟した円い実を見ることができる。この木が山のあちこちにあるところを見ると、種子にはちゃんと繁殖能力があるにちがいない。なかなかミステリアスな植物だが、その理由については、あれこれの図鑑などにあたってみたがよくわからない。
 そのほか、クロモジ属のなかで冬芽が混芽(花芽と葉芽が一緒に入っている)なのはヤマコウバシだけ、とか、葉は基本的には互生なのだが、ところどころで2枚の葉が同じ方向に出ているものがある(ヤマコウバシ葉序と呼ぶ人もいる)など、面白い生態をもった木である。

<参考文献>
『山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花』(写真/茂木透 解説/太田・勝山・高橋ほか 山と渓谷社)
日本植物生理学会「みんなのひろば 植物Q&A」(Website)


<記事 2016年4月10日>

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